You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

フレンチコネクション

 マルセイユのサンシャルル駅は町を見下ろす高台にある。ホテルは駅のすぐ隣にあるArcadeというところにすぐに決まった。(現在はIbisホテル)駅至近にホテルをとるのは,列車移動に便利なのと,駅には食堂が集まっているため,食いっぱぐれることがないからである。このホテルは当時では珍しく最新鋭のカードキーだったのを覚えている。

 マルセイユ駅の南の方向,海に面した小高い丘に,ノートルダム・ド・ラ・ギャルド寺院を眺めることができる。その塔の上に金色に輝くマリア像があり,そこに向かってこの日は歩く。駅から港に下って再び上るコースとなる。

 サンシャルル駅から広い階段を下りる。幅の広いブルヴァール(大通り)を真っ直ぐ南へ下る。ブルヴァールは途中までがアテネ通り,途中からはデュゴミエ通りになる。デュゴミエはフランス革命時の将軍で,このマルセイユからほど近いトゥーロンでの作戦において,あのナポレオンの才能を見出した人物である。ブルヴァールにしては短すぎるが,通りに名を残すには十分な人物である。

 デュゴミエ通りはすぐにカヌビエール通りと交差する。この通りがマルセイユのメインストリートとなっていてマルセイユのシャンゼリゼなどともよばれており,まっすぐ西へ下るとマルセイユ港に出る。カヌビエーヌとは「麻」の意味で,マルセイユは20世紀はじめまで世界最大のカバンやロープなどの麻製品の取引港でもあったらしい。

 麻製品といえば聞こえはいいが,麻といえば大麻も「麻」である。かつてマルセイユはコルシカマフィアの活躍の場であった。アジアから密輸したアヘンをマルセイユでヘロインに精製してアメリカに密輸する。このルートをフレンチコネクションといい,これを題材とした『フレンチコネクション』(1971)というアメリカ映画にもなった。おそらくカヌビエールの名はマルセイユの繁栄の裏も承知で名づけられたのだろう。続編の「フレンチコネクション2」(1975)はこのマルセイユが舞台となっており(一作目はニューヨーク),オープニングにノートルダム・ド・ラ・ギャルド寺院のアップが映し出される。舞台がマルセイユであることを暗示している。主演の若かりしジーン=ハックマンが最高にかっこよかった。

ノートルダム・ド・ラ・ギャルド寺院                        『フレンチコネクション2』のオープニング,寺院がここからアップになる