奈良県の有名進学校である東大寺学園が今年度より,高校入試の募集を停止した。つまり完全中高一貫校となったわけだ。
様々な社会情勢、経済状況の変化と教育方針の変更などがその背景にあるとのことだが,私として申し上げたいのはただ「惜しい」と一言,そして感謝の念である。
思えば若いころ,東大寺学園の高校入試問題は私にとって最初のハードルであり,これを解くための技術を磨き,知識を深めようとした。「社会は暗記科目だ」という指導者が多い中,社会科の入試問題が単なる知識だけでは解けないということを思い知らしてくれた数少ない学校であり,その前提に立って自分は社会科講師として出発した。
最難関校に相応しいあれほどの無駄のない良問を毎年出題され続けた過去・現在のすべての先生方に敬意を表するとともに,心より御礼を申し上げる。