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ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

東海道をゆく③~第二宿:川崎宿~

六郷渡れば川崎の 万年屋 鶴屋と亀屋が米饅頭 

『お江戸日本橋』(民謡) 


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 多摩川を渡ると神奈川県(川崎市)に入るが,旧国でいうとまだ武蔵国である。多摩川は江戸防衛の最後の要害であった。そのため17世紀末から明治期に入るまで東海道にも橋が架けられていなかった。多摩川を横切るには船しかなく,「六郷の渡し」とよばれた。京急川崎駅から徒歩で10分。点在する宿場跡を抜けて,現在多摩川に架かる六郷橋に出る。


 童謡『お江戸日本橋』にある万年屋とは川崎宿にあった旅籠であり,奈良茶飯で知られた。『東海道中膝栗毛』でも弥次・喜多が奈良茶飯で腹ごしらえする。万年屋,鶴屋・亀屋も現存しないが,奈良茶飯か米饅頭なら見つかったがもれないが,民謡の詞通り「神奈川急いで保土ヶ谷へ」コチャエー,コチャエー。

 

☆寄り道 奈良茶飯(柳茶屋) 奈良県奈良市

 奈良茶飯は文字通り奈良の郷土料理である。私は高校までを奈良で過ごしたが,奈良茶飯なる伝統料理を一度も味わったことがなかった。ならば,ということで奈良茶飯を出す店を探してはみたが,その数はわずかしかないことに愕然とした。古都奈良観光の中心地近鉄奈良駅の半径1km以内でも2,3軒である。その1つ興福寺境内に軒を構える柳茶屋さんは,奈良茶飯を名物として看板を出している。私が訪れた日はあいにく休日であったため,近くの猿沢池のほとりにある別館の方でいただくことにした。

 奈良茶飯は東大寺や興福寺の僧が食した精進料理で,ほうじ茶などで米を炊く。これがどのような経緯で遠く関東まで伝わったか詳細は分からない。どこで根付いてもよかったのだろうが,『東海道中膝栗毛』において川崎宿の万年屋に登場したことから人気に火が付いたようである。

 ともかく奈良は奈良漬け以外にも推し郷土料理にもっと力を入れるべきではないか。

興福寺境内の柳茶屋