旅ごろも 木の根かやの根 いづくにか
身の捨られぬ処あるべき 一遍
JR藤沢駅から北に徒歩15分。境川を渡る藤沢橋あたりに藤沢宿があった。歌川広重『東海道五十三次』の「藤沢」に描かれている橋が藤沢橋であろうか。手前の鳥居に目が行くが,遠景に描かれているのは遊行寺,つまり清浄光寺である。
清浄光寺は時宗の総本山である。時宗は鎌倉時代,一遍を開祖とする浄土教(「南無阿弥陀仏」を唱える)の一派である。「一遍」,「一遍上人」,「遊行上人」,あるいは「捨聖(すてひじり)」とも呼ばれる。時宗の「時」が意味するところは私にはわからないが,この宗派がこう呼ばれるようになったのは江戸時代ごろからだという。信徒は「時衆」と呼ばれていた。
一遍は鎌倉仏教の六開祖うち,比叡山延暦寺で修学しなかった唯一の人物であり,各地で修行する中,熊野大社本宮(和歌山県)で熊野権現の啓示を受けたとされる。熊野権現は阿弥陀如来の化身とされ,衆生済度のため念仏を布めるようとのお告げであった。 全国を遊行行脚し,踊りながら念仏を唱えるという独特の踊念仏を流布した。(踊念仏を始めたのは平安期の空也)庶民階層に支持され,現在の盆踊りはこの踊念仏が起源の1つである。
一遍はその思想を著書の形で残すことはなかったが,いくつかの言葉や和歌は残っている。「旅ごろも 木の根かやの根 いづくにか 身の捨られぬ 処あるべき」とは生涯を旅から旅へひたすら念仏の布教に生涯をかけた一遍の生きざまであり,だれが付けたか「捨聖」とは,それに相応しい一遍の尊称であろう。




☆寄り道 古都鎌倉
藤沢は江ノ電の始発駅でもある。ここから鎌倉を訪れる。鎌倉では,鎌倉幕府ゆかりの地,禅宗寺院のいくつかを訪問。これらを語るには私で役不足。立派な旅行書や解説書は世間に多く出ている。名所案内程度に写真のみ掲載することにする。






