You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

シャルル=ド=ゴール空港②

 シャルル=ド=ゴール空港の醍醐味はターミナル1にある。現在はターミナル2の拡張が進んでおり,主だった航空会社がターミナル2を利用している。日本人旅行者の多くも乗り継ぎ便を含めてターミナル2を利用することになるが,ターミナル間の移動はシャトルで簡単にできるので,是非帰りにでも時間があればターミナル1に立ち寄ってほしい。

 円筒形のメインターミナルとその周辺のサテライトはまるで宇宙基地や宇宙ステーションさながら。『アンドロメダ』(1971)・『惑星ソラリス』(1972)・『サイレント・ランニング』(1972)など1970年代初頭の近未来SF映画にでも出てきそうな無機質な内装。各階を移動するのは動く歩道,それらは透明のチューブで囲まれている。動く歩道自体は最近では珍しくないが,開港当初の1970年代には,それだけでも近未来要素だったのだろう。

 

 このターミナルは建築家ポール=アンドリューの手によるもので,私が住む大阪にも彼の作品といわれる建築物があった。「なにわの海の時空間」という海事博物館(2013年に閉館)で,円筒・ドームなど円形設計が彼の特徴である。1960~1970年代,彼のような前衛的な芸術は総じて「アヴァン・ギャルド」と称された。文字通り常人の一歩前を進む(avant garede=前衛)作風は評価が真っ二つにわかれるところである。私もあまり詳しい方ではないが,日本では岡本太郎や草間弥生などが有名であろう。

 もう1つ,面白いことがある。この空港は上階が到着階,出発階は下階となっている。のちのち様々な空港を訪れてから気がついたのだが,普通は逆らしい。設計上そうならなければならなかったのか,逆転の発想が設計の引き金か,前衛だけに私にはわからない。