You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

かつてはスパイ映画御用達

 RERのC線ジャヴェル駅で下車。目の前にセーヌ川が,この辺りでは北西から南東に向って流れている。ジャヴェル駅周辺はかつてシトロエンの工場があった地域だ。シトロエンは第一次世界大戦後の1919年にフランスで設立された自動車会社である。大戦中アメリカではフォードが自動車を大量生産し,モータリゼーションが一気に進んだ。これに対抗してフランスでも自動車の大衆化を目指したのがこのシトロエンという会社であった。

 シャルル=ド=ゴールもお気に入りだったシトロエンDSは大統領専用車にもなった。ド=ゴールはこの愛車に乗車中,暗殺されそうになったこともある。この事件をモデルにイギリスのフレデリック=フォーサイスは『ジャッカルの日』というスパイ小説を書いた。のちに映画化(1973)された。この映画にもシトロエンDSが登場する。俳優の名は忘れたが,この殺し屋かなりの悪である。『ジャッカルの日』は1990年代『ジャッカル』というタイトルでリメイクされた。リチャード=ギア主演で,暗殺者にはブルース=ウィルスという配役。ダイ・ハード(死なない)な男も,今回はちゃんと死んでくれます。

 前部が長いシトロエンDSに対して,シトロエン2CVは前部が短く丸みを帯びたかわいらしい車体である。007シリーズ,「ユア・アイズ・オンリー(ボンドはロジャームーア)」(1981)でそのコロコロの車体がユーモアたっぷりのカーチェイスを繰り広げた。その喜劇性はアニメ,ルパン三世でも採用され,「カリオストロの城」に登場している。

 シトロエンは現在,フランス大手のプジョーの傘下に入っており,シトロエンの名前はこの近くのアンドレ・シトロエン公園とメトロの駅名に残っている。