You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

外国由来の名前も多いのです

 ミラボー橋からエッフェル塔に向ってセーヌ川沿いを上流へと歩く。ミラボー橋の1つ上流の橋はグレネル橋。グレネル橋からビラケム橋までセーヌ川の真ん中に細い中州があり,白 鳥の島(小径)とよんでいる。グレネル橋の下には先ほどの自由の女神像が建っている。ビラケム橋の次はイエナ橋。ここがちょうどエッフェル塔の正面にあたる。エッフェル塔についての説明は星の数ほどあるので,私は省略。

白鳥の小径

 セーヌ川が東から西に流れ,南西へと方向を換える辺りにアルマ橋が架かっている。ビラケム,イエナ,アルマはいずれもフランス外の地名で,フランス史において重要な戦闘があった地名にちなんでいる。ビラケムは第二次世界大戦のリビア,イエナはナポレオン戦争のドイツ,アルマはクリミア戦争のクリミアである。

 アルマ橋を渡ってセーヌ右岸に出る。渡った先は広場となっており,その下にはトンネルが通っている。私が訪れた数年後,ダイアナ元イギリス皇太子妃が事故死したのはこのトンネルである。そのまま北へ進むとそこはジョルジュ・サンク通りに入る。

 ジョルジュ・サンクは英語にするとジョージ5世。もちろんフランス王ではない,イギリス王だ。『英国王のスピーチ』(2010)で有名になったコリン・ファース演じるジョージ6世は彼の息子である。ジョージ5世は第一次世界大戦のころに王位にあり,共に戦勝国となったフランスでは大人気の国王であった。大戦末期1918年7月14日,パリ祭(フランス革命記念日)に訪れたジョージ5世を称えるため,この通りの名前をジョージ5世通りに変更した。この通りには同じ名前のホテルがある。ジョル・ジュサンク・ホテル。一生に一度は泊まってみたいホテルの1つだが,なにせ桁が1つ2つ違う。果たして夢は叶うのやら。

 しかたがないのでシャンゼリゼを挟んだ向い側の通りのホテルカリフォルニアに部屋を取ったのが,最初にパリを訪れたときだった。なんせ名前がよい。ホテルカリフォルニアですよ。あのイーグルスの名曲と同じ名前。このホテルもジョルジュ・サンクと同じぐらいの1928創業のクラシックホテルであった。