You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

はじまりは『スター・ウォーズ』~ロサンゼルス①~

遠い昔,はるか彼方の銀河系で・・・

 だれもがよく知る『スター・ウォーズ』(1977)のオープニングロール。その冒頭文である。何度見たかわからない青色のテロップ。今でもこの文字を見ると胸が高鳴る。日本での公開は1978年。その年,私は小学一年生であった。私は父に連れられ映画館でこのド迫力の映画を見た。私の映画館デビューであると同時に映画そのものの初体験であった。当時,私の住んでいた片田舎の町には映画館など存在せず,劇場で映画を見たいなら大阪の難波まで出る必要がある。当然,映画代だけでなく,電車賃も要る。

 父がどれだけ映画好きであったかは知らないが,劇場まで足を運ぶほどではなかったことは子どもながらには分かっていた。文化派より自然派だということも。アクション系の映画をテレビでよく見ていたのは覚えている。淀川長治が解説する「日曜洋画劇場」である。恋愛ものなど見ていた記憶はさっぱりない。男はみんなそんな世代であった。記憶に残る限り,その父が生涯映画館まで連れて行ってくれたのは3回だけである。すべて「スター・ウォーズ」,いわゆる旧3部作であった。理由は分からない。

 その父は最初の一度だけ,帰りに映画のパンフレットを買ってくれた。写真付きとはいえ,解説はすべて文字で書かれている。漢字もあれば,カタカナもある。そしてアルファベット表記も。つまり小学一年生にはちと荷が重いはずである。はずであるが,私は帰ってからも夢中でそれを読んだ。読んだというより見たという方が正しいかもしれない。しかし何度も何度も見返した。映画の世界を理解しようとした。世界観を想像した。ワクワクした。

 私はずっと自分は母の影響を大きく受けてきたと思ってきたが,最初の引き金は父であった。今思えば『スター・ウォーズ』は,私の人生の何かではなく,すべての引き金になったのではないかと感じている。父亡き今,あの宝物であった映画のパンフレットが私の書庫にないのが痛恨の極みである。

『スター・ウォーズ』の映画シリーズはすべて公開直後に映画館で見ることにしている。