You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

芸術家たちの夢の跡~モンマルトル②~

 ムーラン・ルージュを左に折れて,緩やかな坂道を北に上る。いわゆるモンマルトルの丘に登ろうとしている。アベス通りに出て再び左に折れるとすぐに道が上りと下りの二手に分かれる。右側の登り道に入るとすぐ,ゴッホが一時弟のテオと住んでいたアパートが左手にある。鮮やかな青い扉が目印で,扉の横には表札もかかっている。「1886~1888まで,弟のテオと暮らした」とある。一見したい人は見逃さないようにしたい。

 モンマルトルはその昔,パリとは一線を隠す郊外の別の村だった。ぶどう栽培もさかんで,今でもサクレクール寺院の裏(北)を歩いていると小さな一角にぶどう畑が現れる。モンマルトル最後のブドウ畑(ル・クロ・モンマルトル モンマルトルのブドウ畑)だ。

 ぶどうが収穫されるということは,当然ワインも造られた。モンマルトル一帯に酒場が多く,この一帯が歓楽街となったのはそういうわけである。19世紀,パリが近代都市へと変貌していく中で,多くの芸術家が田舎の風景を求めてモンマルトルに移住してきた。モンマルトルの風景や人々の営みは彼らのモチーフとなり,彼らの交流はお互いにインスピレーションを与え合った。

 ゴッホのアパートを過ぎて次の辻は右に折れる。デュランタン通りを東に進み更に直進するとガロー通りに入る。左手に広い階段道が見えたらそこを上がってみよう。「洗濯船(Bateau-Lavoir)」の跡が残っている。「洗濯船」はピカソを筆頭にモディリアーニ,アンリ=ルソー,ゴーギャンらが拠点としたアトリエ兼住宅の跡。