You ain't heard nothing yet!

ある社会科講師の旅の回想録

You ain't heard nothing yet!(お楽しみはこれからだ!)

テュイルリ庭園北界隈~メトロ1号線⑦~

 コンコルド広場からテュイルリ庭園に入るとまず,左手(北側)にジュ・ド・ポーム,右手のセーヌ川沿い(南側)にオランジュリー美術館がある。モネの「睡蓮」を見たければオランジュリーに,現代写真に興味があればジュ・ド・ポームへと足を運ぶ。

「ジュ・ド・ポーム」とは「テニス」のことである。「ポーム(paume)」はフランス語で「掌」。ラケットを使う前は,素手でボールを打っていた。イギリスに渡って現在のテニスとなる。ジュ・ド・ポーム国立美術館の名は,屋内にテニスコートがあったことからきている。テニスの前身ジュ・ド・ポームは絶対王政時代には王族・貴族の間で親しまれていた。フランス革命最初期に,第三身分(平民)の議員たちがヴェルサイユ宮殿のテニスコートに集まり,憲法制定まで解散しないことを誓い合った。これを歴史上「ジュ・ド・ポーム」(テニスコートの誓い)とよんでいる。

 とりあえずはどちらも選ばず,庭園の中央通りを歩く。何度もいうが,パリでは街歩きで出会った美術館・博物館ごとに立ち寄っては体も時間もたない。しばらく歩くと北に折れてリヴォリ通りに出る。そのまま真っ直ぐカスティリオーネ通りを北上するとヴァンドーム広場に出る。広場中央にはローマにあるトラヤヌス記念柱を模したナポレオンの記念柱が立っている。広場の東面にはホテル・リッツ・パリが建っている。ヘミングウェーが常宿とし,ココ・シャネルが30年以上も住居としたホテルである。ヘミングウェーの出世作『日はまた昇る』では主人公ジェイクとヒロインの待ち合わせ場所となり,オードリ=ペップバーンの『昼下がりの情事』(1957)でも重要な場面となる。そのほかチャップリン,マリーネ・デートリッヒ,数々の著名人が宿泊したホテル。ここも一度は泊まってみたいものである。