わがブログの国内編の書き出しをどこから始めようか。迷った挙句,やはり東京から始めることにした。出発は東京駅である。
東京駅
東京駅は1914年に開業。元号でいうと大正3年にあたる。2014年で100周年を迎えた。この年,世界では6月に第一次世界大戦が勃発。駅舎は辰野金吾(1854-1919)らが設計した。オランダのアムステルダム中央駅をモデルにしたともいわれるが,本当のところはよくわからない。辰野の特徴的様式である赤煉瓦に白帯デザインのゴシック調建築は19世紀末から20世紀初めに世界的に流行った様式で,イギリスではビクトリア女王の治世であったことからビクトリア調ともいわれる。ゴシックなどの古い様式を近代の技術で復興させたという感じ。私は大阪在住であるが,身近なところに辰野建築が残っている。
東京駅には二人の首相の暗殺現場がある。
・原敬暗殺現場(東京駅丸の内南口)
東京駅開業から4年後の1918年,日本で最初の本格的政党内閣を組閣した立憲政友会総裁の原敬(1856-1921)は,岩手県出身の爵位をもたない「平民宰相」として親しまれた。1921年,東京駅で山手線大塚駅の駅員によって刺殺される。東京駅丸の内南口改札外にその印があるが,私が訪れたときは改装工事中で確認することはできなかった。
・浜口雄幸暗殺未遂現場(東京駅構内 新幹線中央乗換口付近)
1930年,浜口内閣によるロンドン海軍軍縮条約の調印を巡って,軍部から批判を受け,天皇の統帥権を犯すものであるといういわゆる統帥権干犯問題が激化。右翼青年によって銃撃される。事件は殺人未遂で終わったが,翌年,このときの傷が遠因で浜口雄幸は死去。
※統帥大権…大日本帝国憲法第11条「天皇ハ陸海軍ヲ統帥ス」。軍部は以後,これを盾にして暴走を始める。作家:司馬遼太郎はこれを「魔法の杖」と呼び批判した。